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第1回 JA-DXノーコードアプリ開発コンテスト 最終審査会

2026年3月27日、日本農業新聞本社スタジオ「たねスタ」にて「第1回 JA-DXノーコードアプリ開発コンテスト」が開催されました。本コンテストは、「JA職員」がノーコードツール「Click」を活用し、わずか数週間〜数ヶ月で実用的なアプリを開発し、その成果を競うものです。昨年度では、東京都と新潟県で初の「Click中級編講習」も実施され、多くの職員がアプリ開発に挑戦しました。今回は合宿での開発作品を含め、合計50作品がエントリー。3月初旬の事前審査を経て、今回発表される選りすぐりの6作品が最終審査へと駒を進めました。

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第1回 JA-DXノーコードアプリ開発コンテスト

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JA新潟中央会においてノーコード合宿・中級編を開催

伝えたいこと

日本農業新聞では、専門的なIT知識がなくても「業務効率化に役立つアプリ開発」を学べる、1泊2日の「ノーコード合宿」を定期開催しています。これまでに約130名以上のJA職員が、ノーコードツール「Click」を活用し、現場の業務に即した多様なアプリ開発に取り組んできました。今回は現場職員自らが開発した業務改善アプリの成果を広く共有することを目的に、初めて「ノーコードアプリ開発コンテスト」が開催されました。審査の結果、最優秀賞にはJA滋賀中央会の「パレット管理アプリ」、Click賞にはJAグリーン近江の「職員統合DXポータルアプリ」が選ばれました。

最優秀賞

パレット管理アプリ(JA滋賀中央会:上野氏)

パレット管理アプリ
パレット管理アプリ

パレット管理アプリは、肥料を運ぶパレットの管理を目的としたアプリです。肥料農薬の部署では、肥料を運ぶパレットが未回収のまま、現場のパレットが足りなくなる事が課題となっていました。そこで、もっとフローを改善したいという思いから、こちらのアプリを制作。返却済みの場合は、印が押されたような仕様になっており、誰が使ってもわかりやすいUIになっています。

アプリ作成前の運用では、回収状況のデータは都度、事務所に戻って確認を行っていました。しかし今では、リアルタイムでスマホからパレットの回収状況を確認できます。また、CSVでデータをダウンロードすることにより、直近の傾向分析も可能。回収率が低い支店を見える化、改善へと繋げています。

最優秀賞受賞 JA滋賀中央会の上野さん
最優秀賞受賞 JA滋賀中央会の上野さん

Click賞受賞

職員統合DXポータルアプリ(JAグリーン近江:原田氏)

職員統合DXポータルアプリは、情報を一元化するために作成されたアプリです。職員への周知事項が「掲示板」「紙」「メール」「口頭」と情報が分断されており、外出の多い営農指導員は、最新情報に触れるのが難しい背景がありました。そこで、Clickで作成したポータルに、各種社内規定、申請フォーム、スケジュール、広報誌PDFを全て集約。また、AIチャットボット、YouTube埋め込み、デジタル職員証、コンプラ資料なども搭載し、「情報を探す」という非生産的な時間をゼロにする目的で運用されています。

JAグリーン近江は約400名ほどの社員が在籍しており、社員証もQRコードで表示することによって、大人数での研修などの受付も大幅な時間短縮を実現しました。現在は、職員がスマホ一つで現場にいながら社内手続きを完結できる仕組みを構築しました。

原田さんは、今までバラバラだった情報を一元化することによって、スタッフが時間を効率よく使うことができ、年間2,100万円のコスト削減に繋がったと語りました。

最終審査会へ進出された作品

今回は2つのアプリが最終審査会へ進出しました。

「なしっこ」アプリ(JA東びわこ:土居氏)

「なしっこ」は地域特産(梨)の販売アプリです。購入者の入金確認ページや、オーダー表、注文番号検索、顧客名検索の機能が搭載されています。また、情報共有メモの項目もあり、販売者側のやり取りやタスクに関して「対応ずみ」「未対応」などステータスの表示も可能です。直接、果物を受け取りにくるお客様の管理や、社員同士の情報共有を目的とした内容になっており、現場の声を活かしたアプリになっています。

「葬祭予約」アプリ

「葬祭予約」アプリは、24時間365日発生する葬祭業務をリアルタイムで情報共有、予約ができるアプリです。一刻を争う場面での誤入力防止設計が実用的で、こちらのアプリを使用する前は、ホワイトボードの手書きメモを確認しながら運用されていました。しかし、夜間にも発生する葬祭業務にはアナログの運用ではタイムラグがあり、予約のブッキングや、メモ書きの読み間違いなどのリスクがありました。

そこで、こちらのアプリでは、ホールの空き状況を外部の葬儀社や職員がリアルタイムで確認、仮押さえができるよう連携。本アプリの導入により、より正確なリアルタイムでの運用が可能となりました。

JA東びわこDXチームでは、「朝に聞いた情報を昼には構築し、夕方にはリリースをする」スピード感でアプリを制作しています。土居さんは「ノーコードなら、思いついたその日に形にできる」という圧倒的な開発スピードの優位性を語り、今まで外注していた案件を最近は全てノーコードに切り替えていると語りました。

JAえちご上越新春職員クイズ(JAえちご上越:古川氏・大門氏)

JAえちご上越新春職員クイズは、職員の交流を図るきっかけ作りとして、作成された職員向けクイズアプリです。合併により組織規模が拡大したことで、他部署の業務内容や組織のビジョンが浸透しにくいという課題があり、情報共有と交流促進を目的として企画されました。クイズ内容は、各部署の業務内容や役割などを題材に出題し、自然と理解が深まる設計になっています。こちらのアプリの作成期間は2週間。「DX=効率化」だけではなく、「DX=組織のエンゲージメント向上」という新しい切り口を提示しました。

ファーマーズアプリ 〜地域農業を支える営農DX〜(JAグリーン近江:八巻さん)

ファーマーズアプリは、営農事業が抱えるアナログ対応を改善するための情報集約アプリです。こちらのアプリは機密性の高いデータが多いため、セキュリティを強化しており、初回ログイン時は窓口での対面確認とQRコードを用いた運用でセキュリティを担保しています。また、本アプリは今まで使用していた紙の資料をこのアプリに集約し、事務作業の時間を大幅削減。他にも県のシステムと連動した機能や、施設への持ち込み予約システム、パレット管理機能など営農に必要な様々な機能がこちらのアプリに集約されています。

中でもAIチャットボットを搭載したお問い合わせ機能では、迅速に適切な回答を提示し、スタッフの業務効率化にも繋がっています。

さらにこちらのアプリは職員だけでなく、農家の利便性を配慮した設計にもされており、大きなボタンと分かりやすいアイコンで、スマホに不慣れな高齢の農家でも「直感的に操作できる」UIを実現しています。八巻さんは、施設の予約システムが実装されたことにより、適切な人員配置ができ大幅なコスト削減に成功したと伝え、今後は施設の混み具合をライブ配信し、予約者が予約を取りやすい仕組み作りを構築していきたいと語りました。

審査委員からのコメント

左:アステリアキャンバス株式会社代表取締役CEO 工藤 亮太  右:東武トップツアーズ㈱CDO、JA-DXアドバイザー 村井 宗明 氏
左:アステリアキャンバス株式会社代表取締役CEO 工藤 亮太 右:東武トップツアーズ㈱CDO、JA-DXアドバイザー 村井 宗明 氏

アステリアキャンバス工藤CEOは、アプリの完成度に加え、ログインや権限設計、配布方法など「運用まで見据えて開発されている点」が印象的だったとコメントし、ノーコードで自らアプリを作る経験そのものが、大きな価値であると伝えました。

東武トップツアーズ村井CDOは、「汎用的なアプリではなく、農協の現場に即した“ここでしか必要とされないアプリ”に価値がある」とコメント。各現場の業務や状況に合わせて作り込まれている点を高く評価しました。

左:株式会社日本農業新聞 代表取締役社長 田宮 和史郎 氏   右:ノーコード推進協会 代表理事  中山 五輪男 氏
左:株式会社日本農業新聞 代表取締役社長 田宮 和史郎 氏   右:ノーコード推進協会 代表理事 中山 五輪男 氏

日本農業新聞田宮代表取締役社長も、「想像以上に完成度が高く、現場に根ざしたアプリが多い」とコメント。特に、ポータル化など組織全体への展開を見据えた取り組みに、DXの広がりを感じたと伝えました。

ノーコード推進協会中山代表理事は、どの作品もレベルが高く、また、クイズアプリのような“楽しさ”を取り入れた設計や、ポータルアプリのように業務全体を支える発想など、多様なアプローチを高く評価しました。

まとめ

今回のコンテストでは、業務効率化だけでなく、情報共有や組織のエンゲージメント向上といった新たな価値も生まれており、JAにおけるDXの可能性が大きく広がっていることが示されました。今後もこうした取り組みが各地域に広がり、現場発のDXがさらに加速していくことが期待されます。