軽井沢ラーニングフェスティバル軽井沢ラーニングフェスティバルという新しい学びの形―自由な体験を生み出すノーコードツールClick
学びの体験をGiveし合い、熱狂の中で参加者全員がその場で創り上げる「軽井沢ラーニングフェスティバル」(通称:ラーフェス)。あらゆる領域のスペシャリストたちが集まるラーフェスでは、Clickを活用したアプリが活躍しました。今回は、軽井沢ラーニングフェスティバル実行委員会の全体統括を務める内田 成男様(以下ウッチーさん)と、アプリ開発を担当された、西舘 聖哉様(以下西舘さん)にお話を伺いました。
伝えたいこと
アプリの導入によって、初めて参加される方でも気軽に確認して参加・セッションを登録して実施ができる仕組みを作れたことにより、より多くの方がアプリを通じて自由に発信し、学びをシェアする場が生まれました。
白紙のタイムテーブルから始まり、参加者同士が与え合い楽しみ尽くす学びのフェスティバル
まずはお二人の自己紹介からお願いいたします
ラーフェスでは、実行委員会で全体統括を担当しています。
誰もが生まれ持っている野性の感覚や、人間性に根ざした内なる衝動を取り戻すことを目指し、自然や五感、藝術などを中核に据えて、身体知から学びを深めていくような体験をつくっています。
アプリ開発を担当しています。もともとはIT企業に勤務していた経験もあり、ラーフェス自体には初期から携わってきました。
ラーフェス運営では、配信担当、エンジニア担当として参加しています。普段はイベントやコミュニティ作りを専門にしているので、そのナレッジも活かしつつ、エンジニアとしての視点を持ちながら、中間的な存在として関わっています。
軽井沢ラーニングフェスティバルについてお聞かせください
「大人の学びとはなにか?」という問いから生まれた、軽井沢の国立公園内に位置する、標高1200m、敷地面積4万坪のライジングフィールド軽井沢で毎年開催しているイベントです。2018年から始まり今年で7年目、第8回を迎えました。そこでは大人もかつての子どもだった頃のように、身体を使い、本気で楽しみ熱狂する中で、体験を通じた気づきや学びを得られるような場をつくっています。
そして、Buddy(※ラーフェスに関わる、参加者もボランティアスタッフも実行委員も、全ての人を「Buddy(バディ)」と呼んでいる)同士が「誰もが持っている、誰かの学びや気づき、癒しや救いになるような「Give」を、お互いにし合って楽しみ尽くせる場」となっています。この3日間のイベントでは、Clickで開発したアプリを導入しました。
アプリの概要をおしえてくだい
イベントに必要な情報をすべて集約したツールです。最大の特徴は、タイムテーブルがあらかじめ決められている形式ではなく、白紙の状態からスタートし、Buddyが自由にコンテンツを登録・発信できる点です。
アプリの特徴
- 自由度の高さ:事務局側が決めるのは基本的な枠組み(開始・終了時間や食事時間)だけで、他はBuddyが自由にコンテンツを登録・発信できる
- 使いやすさ重視:ログインを排除し使いやすさを重視した設計
- イベントの情報:イベントで必要な情報がすべて集約されている
- 外部サービスと併用:Facebookグループも併用し、イベント中はもちろん、イベント前後でもコミュニケーションや情報共有が続く
アプリ活用方法
- その場で生まれるセッションをリアルタイムで確認できる
- Buddyはセッション登録ボタンを使って、セッション名や詳細を登録可能
- 行われているセッションの内容を確認することができる
具体的に、どのようにセッションの登録や調整が行われたのでしょうか?
ラーフェス開催初期の頃は通常のビジネスカンファレンスのようにタイムテーブルをあらかじめ決めておく形式で進行していましたが、その場で生起するものやセレンディピティに、より重きをおき、「白紙からはじまるタイムテーブル」という考え方を導入しました。これにより、参加者が自由にセッションの登録、確認ができるようになりました。それにより、今年のラーフェス2024では3日間で、90個ほどのセッションが登録されることになりました。
アプリ導入で敷居を下げ、誰もが自由に参加できる仕組みを実現
90セッションも登録されたとのことですが、成功の秘訣を教えてください
7年間の中で積み重ねられたものによって立ち上がってくる空気感、そこから生まれていく私も僕もやってみようという意識、そして初めて参加される方でも気軽に確認して参加、登録、実施ができる仕組みをアプリの導入によって作れたことが大きなポイントだと思います。
誰でもコンテンツを登録・発信できるようにすることで敷居が下がり、より多くの方がアプリを通じて自由に発信し、学びをシェアするGiveの機会が生まれました。
イベント開催中に、リアルタイムで対応できたことによって、ユーザー目線で課題を解決
特に印象に残っているエピソードついて教えていただけますか?
特に印象に残っているのは、イベントの2日目の朝の出来事ですね。ある方に「このアプリ、パッと見てセッション全体が分かりにくいところがあるよね」と言われたんです。その瞬間、私自身も確かにそうだなと思いまして、「じゃあ、リストを作りましょうか」とその場で提案し「それいいね!」という反応をもらえたので、すぐにその場でセッションをリスト形式で時系列順に並べたページを作成しました。
まさにリアルタイムで対応したという感じです。この改善へのフットワークの軽さとすぐにリリースできる点は、ノーコードの強みを最大限に活かせた部分だと思いますし、ユーザー目線で課題を解決できたことに達成感がありました。
UIの使いやすさが最大のポイントで、操作が簡単で快適
アプリ開発には予算やアップデートの問題が伴いますが、過剰に予算をかけてガチガチの物を作ってもラーフェスには適さない可能性があります。その点で言うと、手軽さや運営チームがリアルタイムで改善できる柔軟性が重要であり、迅速に対応できる点でノーコードツールが非常に適していると思います。
イベント開催当初は別のノーコードツールを使われていたとのことですが、Clickを選ばれたポイントはどのような点だったのでしょうか?
初年度は海外製のノーコードツールを使用しました。しかし、作り手側としても使いにくさを感じることが多く、参加者からも固有の使用の部分で「使いにくい」というフィードバックを受けました。2023年の夏頃に、Clickを知り、実際に試してみると、操作性が格段に良いと感じ、その後アプリをClickで作り直し、昨年からClickを採用しています。「使いやすくなった」「良いアプリだね」という声も増え、手応えを感じています。
Clickを選んだ理由は、UIの使いやすさが最大のポイントです。特にカレンダー機能や日本語対応の面で、使いやすいと感じました。以前使用していた海外製のノーコードツールよりも機能が充実しており、データベース登録や必要なデータを引き出す操作も簡単で、アップデート作業もスムーズに進めることができました。
アプリも完璧である必要はなく、使いづらいところがあればその場で直し、意見を取り入れて改善していけばいい
決められたタイムテーブルがあると、その通りに進まなければならないというプレッシャーを運営も感じながら、「こうならなければならない」という制約が生まれがちです。しかし私たちは、その場で起きるすべてを受け入れ、楽しむことを大切にしています。「あらかじめ予定する」ことを手放すことで固定観念から解放され、自然体になれるのです。
セッションを開催するBuddyも、事前の準備や決め事などを詰めすぎず、集まった人たちの雰囲気や場の状況を感じながらその場で一緒に作り上げていっています。それと同じで、アプリも完璧である必要はなく、使いづらいところがあればその場で直し、意見を取り入れて改善していけばいい。みんなで協力し合い、楽しみながらよりよい形を目指す姿勢が、アプリにも表れていると感じます。
偶発的に、その場でしか生まれない体験を存分に味わえるような仕組みを、アプリも含め、皆でつくりあげていきたい
今後の展望を教えてください
関わるすべてのBuddyたちが少しずつこの世界観やツールに慣れてきている実感があります。そのため、今後もさらに使いやすくなるように、改善を重ねていきたいと思っています。偶発的に、その場でしか生まれない体験を存分に味わい尽くせるような仕組みを、アプリも含め、みんなでつくりあげていきたいですね。
ラーフェスの形は、世の中にそんなに多くは存在するものではないと思いますが、予定を手放すことで新たに生まれる世界があると感じています。そうした新しい可能性がどんどん広がっていけば、きっともっと未知なる展開が至るところで生まれていくかもしれないと考えています。
軽井沢ラーニングフェスティバル
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